憩(いこ)いまくりたい人々に贈る、
恋のユル騒ぎムービー
人を怖がらせることが三度のメシより好きな古本屋の長男、照男と、清掃会社に勤めるお人好しのサラリーマン、久信は、気心の知れた幼なじみ同士。休日にはたわいのないホラーごっこに興じたり気ままに過ごしてきた彼らは、最近何となく人生の"壁"にぶつかっているような気がして、自分たちのユルい現状にちょっぴり不安を抱き始めている。もうすぐ30歳だというのに大人になりきれない彼らの前に、あかりという胸ときめく女性がひょっこりと現れて......。
独特の風貌やセリフ回しはもちろん、そのたたずまいだけで観る者に強烈なインパクトを与える"超"個性派俳優、荒川良々。映画、TVドラマ、そして舞台で大活躍中の彼が、ついに初主演を飾る話題作『全然大丈夫』が完成した。企画の出発時点から"良々ありき"で構想された本作で劇場映画デビューを果たすのは、大人計画とのコラボレーションでも知られる藤田容介監督。グループ魂主演映画「グループ魂のでんきまむし」でも絶賛された卓越したユーモア・センスが、いよいよスクリーンいっぱいに開花する。全編変わらぬゆったりとしたリズムと間合いから、時にあっけらかんと、時に意表を突いて繰り出される奇想天外なギャグの数々。腹を抱えるもよし、きょとんと目を丸くするもよし。ひとたびツボにはまると病みつきになってしまうオリジナリティ満点の笑いが、随所にちりばめられている。
不思議な浮遊感を湛えた藤田ワールドにさらりと溶け込んだ荒川良々に、木村佳乃、岡田義徳の豪華キャストが絡むアンサンブルは絶妙の味わい。"世界最恐のオバケ屋敷を作る"という妙ちきりんな夢からして、かなり世間とズレた面白キャラクターを荒川がひょうひょうと演じれば、岡田は優しさゆえに八方美人な行動に走りがちな青年の迷いを等身大の存在感で体現。凛々しくも清楚な魅力で幅広い支持を得ている木村が、天然系の地味ヒロインになりきって新境地を見せ、恋によって可憐に輝き出す女性の変化を表現しているのも見どころとなる。そう、まさにこの映画は、彼らが織りなすおかしくも切ない三角関係の行方を綴った和製ロマンチック・コメディでもあるのだ。ココリコの田中直樹、蟹江敬三、白石加代子、きたろう、根岸季衣、小倉一郎といった演技巧者揃いの脇役陣も実に強力だ。
ファンタジックで時にシュールなイメージを織り交ぜつつも、そこはかとなくリアルな"今"の映画として成り立っている独創的な世界観も『全然大丈夫』の大きな魅力だ。怪奇マニアの主人公、照男の部屋にずらっと並ぶキモカワいいフィギュアやギミック、ヒロインのあかりが描く鮮烈な色彩の肖像画、ホームレスのおばさんが廃品でこしらえたユニークな人形たち。そしてドラマの重要な舞台となる昔ながらの街の小さな古本屋さん。これらの小道具やセットの空間設計が各キャラクターの個性をくっきりと際立たせる一方、そこには世間からうち捨てられた物をリサイクルするエコロジカルな視点もこめられている。またニューエイジ・ハワイアンバンド〈エコモマイ〉による、心和むメロディのウクレレ音楽を全編にフィーチャー。同バンドの面谷誠二が伴奏を務め、蟹江敬三がお米の素晴らしさを切々と歌い上げる挿入歌「コメ」は、なぜか耳にこびりついて離れないスルメ味の名曲に仕上がっている。
人間のトホホな滑稽さと哀しみが詰まった『全然大丈夫』には、声高に叫ぶメッセージはまったくない。何がいったい"大丈夫"なのかというテーマの解釈すらも、観客それぞれに委ねている。それでもきっと、風向き次第でどこへ飛ぶかわからない風船のようなお話を最後まで見届けた人は、純情な日陰者たちが見つけた"大切なこと"に愛おしい共感を抱いてしまうはず。そんな真心と幸せな気分を少しでも感じてもらえれば全然大丈夫! スタッフ&キャストの親密な雰囲気がうかがえるようで頬が緩む、晴れやかなエンドロールの映像もお楽しみに。
遠山照男 荒川良々
木下あかり 木村佳乃
小森久信 岡田義徳
骨董修復職人・湯原 田中直樹
照男の父・英太郎 蟹江敬三
近所の金物屋・栗田 きたろう
照男の姉・智子 伊勢志摩
旅番組レポーター・ヤマトタカル 村杉蝉之介
「デラックリン」社員・梅沢 江口のりこ
照男の叔父・浩太郎 小倉一郎
清掃員・豊原 根岸季衣
ホームレス・ナガやん 大久保鷹
ホームレスのアーティスト・ヌーさん 白石加代子
監督/脚本 藤田容介
配給 スタイルジャム
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